「こころの休憩室」


スズメバチにやられちゃった、痛いつらいの話

東洋医学史研 究会
宇田明男


スズメバチ対策,アナフラキシー
刺された直後
スズメバチ対策,アナフラキシー
4時間後
スズメバチ対策,アナフラキシー、宇田整骨院
16時間後
スズメバチ被害,アナフラキシー、宇田整骨院
48時間目かさぶた形成

熊本県の山間部に住んでいる知人宅の庭先で話し込んでいたときのことであるが、どうしたことかミツバチが頻繁に飛んでくるのに気が付いた。
この知人宅では自宅近くにニホンミツバチを飼っていた。

その巣箱が林の間に置いてあったから身近にミツバチが飛んできてもおかしくはないのであるが、それにしても何か様子が変だなあと思っているとそのうちの1匹がいきなり私の手の甲を刺した。

こちらから何も手出しをしていないのに前触れなくミツバチが興奮して攻撃してくるのはおかしなことであるが、そのミツバチは針先を残したまま飛び去った。
ミツバチの場合は針を失うと死んでしまう。


そこへ一緒に来ていた妻が「さっきミツバチの巣箱に大きな女王蜂がいた」といってきたのを聞いて、私と知人は一瞬驚いて思わず顔を見合わせた。

女王蜂が今の時期巣箱を出入りするはずはないし、大きな蜂というのならそれは天敵のオオスズメバチに違いあるまい。

大型の肉食スズメバチがミツバチの巣箱を襲っているのだと直感した。

知人は慌てて蝿叩きを手にするとすぐさまミツバチの巣箱の方へ掛けていったのであるが、しばらくすると5、6匹の凶暴なスズメバチを叩き落して帰って来た。

やはり妻が目にした大型の蜂というのはオオスズメバチであった。

スズメバチ対策,アナフラキシー こうして捕獲したスズメバチはいつも焼酎か何かに漬け込んでおくのだという。
知人によると今回同様スズメバチがミツバチの巣箱を襲撃してくるという。
襲ってきた凶暴なオオスズメバチは強力な顎で小さなミツバチを次々と噛み殺していく。
ミツバチの死骸が累々と転がって巣の中の幼虫も肉団子にされて食べられてしまう。
スズメバチは肉食昆虫なのだ。


ここ数年温暖化の影響によるのかスズメバチが増殖してきている。
山間部だけでなく都市部にもスズメバチが頻繁に巣を作り始めている。

屋根裏や床下に好んで巣をつくるわけであるが、そのスピードが通常のアシナガバチの巣づくりよりも速く大型のものを短期間に作ってしまう。
そのまま放置しておくと1週間で直径15センチぐらいの大きさになる。

当方は昨年の夏にアシナガバチに2箇所刺されたのであるが、今年はすでに3箇所も刺されてしまった。
それだけ蜂との遭遇が頻発していることになる。

刺された瞬間は焼き火箸を押し付けられたような激痛が走って、ズキズキと脈打つように痛みが広がる。

私の場合は、少しは腫れるが大抵1日程度で症状はなくなって、次第に痒みに変わっていく。
何度も蜂に刺されていると抗原抗体反応からアナフラキシー・ショック状態になる場合があるから油断禁物である。
意識不明になって倒れこむ場合もあるからハチの毒は危険である。

ところで今回不運にもさらにまたまた蜂に刺されてしまったのである。
それももっとも恐れていたスズメバチにである。
相手がスズメバチだから、いままでとは比較にならないような大変な被害に会ったということになる。


午後4時過ぎ草刈中、いきなり側方向から飛来してバシッツと激突するような形で攻撃されたが、一瞬のうちに下唇部分を刺されてしまっていた。
このときはまったく防ぎようがなかった。
麦藁帽子を被って前かがみで作業していたために、スズメバチの飛来も突然の不意打ち攻撃も気付かなかったのである。

大型の大スズメバチだと、B29爆撃機のエンジン音のような特徴のある低音の羽音とガチガチという顎の音が警告音として威嚇してくる。


不幸中の幸いというべきか、襲ってきたのはオオスズメバチではなくて一回り小型のキイロかクロスズメバチではなかったかと思う。

一瞬のことだったのではっきりとした正体は確認できなかったが、唇を狙う当たりの習性はスズメバチ特有のものだ。

スズメバチ対策,アナフラキシー、宇田整骨院 スズメバチは色の黒いものを目標に集中的に攻撃する。

人間であればまず髪の黒い頭や黒目を狙ってくる習性がスズメバチにはある。

紅い唇は色彩の波長がいくぶん長くて、黒色に近いということで頭同様に攻撃されやすいのだ。

スズメバチが黒いものを襲う習性は、巣を狙ってくる熊の毛色に強く反応するためといわれている。

それ以外にも香水や整髪料にも敏感に反応するので女性は特に注意が必要になる。

(右の写真は捕獲したキイロスズメバチ。お尻のハリは太く、自在に出し入れが出来る。)


とにかくスズメバチに刺された時の灼熱感のある強烈な痛みは、アシナガバチの比ではない。

やはりスズメバチの方が毒性が格段に強いわけで、強烈な痛みが襲ってくる。

それでも今回は、刺された直後にふらついて倒れたり吐き気を催すような最悪の急性症状は出なかったので、どうやらショック状態には至らないで済んだ。

蜂に刺されたというので、傍に居た家族が心配するがそのまま草取り作業を続けた。

夕方になるに連れて次第に唇部分の腫れの症状が酷くなってきたのだが、我慢しつつどうにか夕食も食べられた。


刺されて6時間経過した当たりから下唇の腫れが顕著になる。
熱感や痛みがあるので氷嚢で顔全体を冷やすがほとんど効果はない。


その夜はどうにか睡眠が取れるのではと思っていたところ、明け方早くに顔面部の不快感で目が醒めた。

刺された顔面部の腫れは相変わらず酷く、左側のほほ全体と口の中まで腫れが広がってきている。
下唇はまるで赤いタラコ状態でパンパンに腫れ上がってしまっていて、喋るのにも食事をするのにも支障をきたす状態である。

まるで口の中に何かを詰め込またようで、口腔内全体が隙間がないほどに膨れ上がってしまった状態で口を動かたびに引きつるような痛みを伴う。

鏡で自分の顔を見て驚いた。


一夜にして顔半分の風貌が変わってしまい、下唇は松本清張風、ほほから下顎は宍戸錠で、全体的には荒俣宏風という具合に、見るからに個性的な顔貌となってしまい鏡を見て思わず苦笑してしまう。

とにかくそのままの状態では人前には出にくいので、暑いさなかではあるがマスクをすることにした。
経過が悪いかと思っていると24時間経過した夕方頃からやや症状は軽快し始める。

唇部分の腫れがやや軽減する。左側ほほの腫れはまだ残って固く突っ張った状態である。
顔の表面部を触った感じは硬くなりかけた餅というところで、押さえるとしこりと多少痛みが残っている。
48時間経過すると唇全体の腫れが引いた感じであるが、左側ほほの腫れぼったさはいまだに残存している。

二日目の夜になると下唇にかさぶた状の固いものが出来る。

この時点では感覚的には痛みはほとんどないが、かさぶた部分の腫れぼったさが残っていて多少の違和感がある。

とにもかくにも、まあ今回は酷い目にあってしまったのであるが、この程度の症状でどうにか治まったのは不幸中の幸いであった。


  (06・7・23)

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